Hiroko Takakusaki Artist
作品について
2009年頃いのちをテーマとして作品に大地を取り込みたいと考え、それまで描いていた抽象的な形象を取り払い、一定方向の筆の動きを繰り返す絵画を制作した。ほぼ単色の絵の具の濃淡とわずかな色の違いによって水面のような画面には、ゆらゆらと網のようなかたちが立ち現れた。2013年頃からは世界の連鎖する有様の表現として多角形の連なる絵画の制作を始めた。多角形の集積による有機的な形が、ミクロ的でもマクロ的でもあることなどに面白さを感じた。 実物の透明な網を素材に使い始めたのは2020年。不織布の作品の補強材の目的で使用した網に絵の具が飛んで着色したのがきっかけだった。網はモノを遮断し、あるいは解放する。網の縦横の交点はモノの存在の原点であり、その結果世界を形作っていると言えるかもしれない。2021年、2022年には着色したネットを複数枚空間に吊り下げる作品や、着色時の飛沫による平面作品を発表。2023年に初めて紙やキャンバスにネットを重ねて描く平面作品を発表した。そこにはネットがあることによる不自由さと自由さがあるのだが、ネットがあることによる自由や解放が不自由さに勝っていると感じ、本展出品作品に至る。
略歴
1991 第20回 現代日本美術展 (東京都美術館、東京)
2002 Art Scholarship 2001 現代美術賞展 (Live-Ⅱ、東京)
Peace & Harmony (WAH Center, New York, アメリカ)
2005 西湖芸術博覧会 (浙江省世界貿易中心、杭州、中国)
2007 21st century Japanese Art (Royal Exhibition Building, Melbourne, オーストラリア)
2008 ブロワ日仏芸術祭 (Halle aux Grains, Blois, フランス)
2009 いのちを見つめる (ノース・ギャラリー、埼玉、-’13)
2013 どこかでお会いしましたね (うらわ美術館他、埼玉、-’20)
2015 アートアイランズTOKYO 国際現代美術展 (大島、新島、東京、-’17, ’19, ’20)
2016 国土海洋環境国際美術大展 (ソウル市立慶熙宮美術館、韓国)
かがわ・山なみ芸術祭 (旧琴南中学校他、香川、’18, ‘20)
2017 日本現代アートとの対話 (中国文化センター、東京)
2018 公共空間と美術-埼玉会館エスプラナード展(埼玉会館、埼玉)
2019 CON展2019 en ASHIKAGA(栗田美術館ギャラリー・大島毛織、栃木)
2021 路地まちアートランブル(足利市内S邸、栃木) その他、京二画廊(東京)、なびす画廊(東京)、Gアートギャラリー(東京)、ギャラリー宏地(東京)、埼玉県立近代美術館、Gallery Onetwentyeight(N.Y.)、masuii R.D.R(埼玉)、Gallery青藍(東京)、ギャラリー香文木(埼玉) 、いりや画廊(東京)、アートギャラリー絵の具箱(東京)、ギャラリーモーツァルト(東京)、artgallery&Legion(東京)などで個展 。